ワークブースの設置では消防法にご注意ください!義務免除の条件と特例申請を詳しく解説します。

ワークブースの設置では法令遵守を求められる場合があります。特に注意が必要なのが消防法です。この記事ではワークブースを設置する際に、消防法が適用されるのかどうかを解説します。法令遵守の義務や免除される条件などもまとめています。免除条件を満たしたときに必要な手続きについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
ワークブースは消防法の対象になるのか…
Contents
ワークブースの設置が消防法対象になる場合があります
ここでは、消防法の対象になる基本的な条件を解説します。
可動式ワークブースは消防法の対象になる理由
ワークブースが「可動式ブース」に該当する場合には消防法の対象になります。可動式ブースは、居室と見なされる設備のことです。天井と壁によって囲われて床や壁などに固定されておらず、または簡単に取り外せるものを指します。フルクローズのボックス型のワークブースは、全て消防法の対象です。
可動式ワークブースが消防法の対象にならない場合
ワークブースにはセミクローズや、オープンのタイプもあります。天井や壁の數面が取り除かれているワークブースの場合には、消防法における可動式ブースに該当しません。そのため、ボックス型で完全に密閉されているワークブース以外は消防法の対象になりません。
参考:消防庁|消防予第211号
可動式ワークブースが消防法の対象となった背景
可動式ブースが消防法の対象になったのは、カラオケボックスや個室ビデオなどで火災が相次いで発生したことが発端です。カラオケボックスや個室ビデオ、インターネットカフェなど火災のリスクがあるブースについて消防法が適用されるようになりました。ただし、消防予第211号によって、可動式ブースが一定の条件を満たすときには、消防法で定める設備の設置義務が免除されるようになりました。これは、ワークブースのようにカラオケボックスなどとは異なる使い方の可動式ブースが広まった影響があります。
消防法で義務付けられているワークブース設置条件
消防法で可動式ブースに該当するワークブースの場合、機器の設置と点検・管理の義務があります。ここでは消防法で求められている機器について概説します。
必須消防設備とその設置条件
可動式ブースに該当するワークブースでも、消防法の義務を免れる場合があります。ここでは、消防法の適用が免除される条件について概要を紹介します。
ワークブースに求められる消火設備や安全対策
消防設備の設置の免除を受けるためには、まず以下の条件を満たすことが必要です。
・宿泊を目的としない
・火気を使用しない
・床面積が6平方メートル以下になっていること(管轄の消防署で違いますので確認必要になります)
・天井と壁が不燃材料でできていること
・住宅用下方放出型自動消火装置が設置されていること
・ブース内で火災が発生しても確実に消火できることが示されていること
さらに火災が発生したときに適切な対応ができるように、以下のいずれかの要件を満たしていることが求められます。
・ブース内で火災が発生したときにブース外から目視できること
・ブース内部やブース外部直近で発生した火災を覚知できるように措置されていること
・ブースの出入口扉に施錠装置がないこと(非常の際に外から解錠できる場合を除く)
・ブース内の見やすい箇所に喫煙その他の火気を禁止する表示があること
以上すべての条件を満たしているときに、消防設備設置の免除を受けることが可能とされています。厳しい条件が定められていますが、ワークブースの安全のために必要だと考えましょう。
スピーカー設置免除の基準
ワークブースへのスピーカーの設置の免除は、基本的に消防設備設置免除の条件を満たす必要があります。さらに以下の条件を満たしていれば、スピーカー設置の免除を受けられます。
・外からのスピーカー放送についてブース内で音圧が65デシベル以上になること
ワークブース設置時の特例申請手続きと必要書類
ワークブースが消防法の可動式ブースに該当する場合、設置の際に消防法を遵守するか、特例申請が必要です。ここでは特例申請についてお伝えしていきます。

特例申請とは|申請の必要性とメリット
特例申請とは、消防法の設置届出の際に必要な消防用設備などの設備条件について、緩和措置を受けるための申請です。消防法で定める技術的な基準を満たす別の安全策を講じたときに、特例申請によって特例として認められれば、スプリンクラーなどの消防設備の一部を用意せずにワークブースを設置できます。
特例申請に必要な手続きと書類の流れ
特例申請をして消防法の適用を一部、またはすべて免除されるためには、申請書を管轄の消防署に提出する必要があります。申請書に添付書類を添えて提出が求められます。地域によって必要書類はやや異なりますが、基本的には以下の書類が整っていれば申請可能です。
・平面図
・立面図
・仕上表
・可動式ブースの仕様書
・住宅用下方放出型自動消火装置の機器図及び性能評価書の写し
・可動式ブースを設置した状態で実際に測定した音圧値を記載した図書(放送設備のスピーカーの設置を免除する場合)
・連動型住宅用火災警報器を設置する場合は仕様書及び設置位置がわかる平面図
・ブース内に椅子を設置する場合には椅子の寸法及び材質がわかるもの
可動式ブース設置の届け出書を提出するときにも、同様の書類が必要になります。また、防火対象物使用開始届の届出も提出が必要なので、可動式ブースに該当するワークブースを設置するときには手続きを忘れないようにしましょう。
ワークブース設置における消防法違反のリスクと罰則
消防法違反による罰則規定とは
消防法では、建物内の通路や避難経路をふさぐような設置物は禁止されています。これに違反すると、改善命令や罰金(最大30万円)などの罰則が科されることがあります。
また、重大な違反があると、使用停止命令や営業停止処分が下されるケースもあるため、ワークブース設置前の確認は非常に重要です。
ワークブース設置前に避けるべき消防法違反
- 避難経路をふさぐ配置
出入口や通路を妨げる設置はNG。非常口の前にも置けません。 - スプリンクラーや火災報知器の死角をつくる
ブースの設置で、設備が正しく機能しなくなる可能性があります。 - 建築用途に合わない使用
本来設置できない用途の部屋にブースを入れると、法令違反になることも。
不安な場合は、事前に消防署やビル管理会社へ相談することをおすすめします。設置後のトラブルを避け、安全で安心なオフィス環境を整えましょう。
ワークブースの消防法基準を守るための費用と効果的な対策
消防設備導入にかかるコストの見積もり
ワークブースを消防法に適合させるためには、必要に応じて以下のような設備の追加・調整が発生することがあります。
- 火災報知器の増設:1台あたり1〜3万円程度
- スプリンクラー設備の調整:工事内容により5万〜20万円以上
- 避難誘導灯の設置:1台あたり2万〜5万円程度
- 設置前の防火対象物使用変更届出サポート:数万円〜
※実際の金額は建物の規模や条件によって大きく異なるため、設計段階で専門業者による見積もりを取りましょう。
効果的な費用対効果を狙った消防法対策
- ブースの配置を工夫して、避難経路を確保
余計な設備増設を避けられ、コストを抑えられます。 - 天井が開放された「簡易型ブース」を選ぶ
スプリンクラー増設不要な場合もあり、初期コストを節約可能。 - 消防署との事前相談を活用
事前に確認することで、無駄な工事やトラブルを未然に防げます。
見た目や機能だけでなく、「安全性と法令順守」もふまえて選ぶことで、安心して長く使えるワークブースになります。
まとめ 消防法遵守で安全にワークブースを設置するために必要なポイント
ワークブースは可動式ブースに該当するフルクローズボックス型の場合、消防法の適用を受けます。消防法に従って消防設備とスピーカーの設置をし、点検や管理が必要です。
防音性の高いフルクローズボックス型であっても、は要件を満たしていれば消防法の免除を受けられます。弊社では消防申請の代行も承っておりますので、お気軽にお問合せください。